どうしても言いたいこと
先日「事業承継における事業価値」というテーマでセミナーを実施しました。
診断士向けの研修だったので、詳しい財務・税務観点からの事業価値評価に主眼を置くのではなく、
これぐらいM&Aアドバイザリーが最初の事業価値評価をしておけば後のトラブルを防げたり、専門家との連携が取りやすいよという内容にしていました。
私はふわっとしたセミナーが大嫌いでして。
なんかよくあるじゃないですか。解像度の低い研修。
個人的にアバウトな概論だけなら今の時代AIに聞いたら終わりだし、勉強してなくてもそれなりの経験積めば研修聞かなくてもやらなければならないことぐらい、みんな分かってますよ。
問題はその解像度は低いけどやらなければならないことをどのように解像度を高め、自社に置き換えて実行できるかであって、研修・セミナーで聞きたいことはまさしくそこだと私は考えています。
例えば、M&Aの世界では再現性の高い事業が売れやすいと言われます。
それは正しい。
正しいけど、具体的にどのようなポイントを見ればいいのかが大事で。
ひとつの解としては、どの企業も自社の状況ばかり注目してしまう。しかし、一歩引いて全体を俯瞰した際には、サプライチェーンにまで気を配る必要がある。倒れてはいけない外注先、仕入先は無いかもチェックしようと。
これぞ現場で経験をしたからこそ言えることで、まさしくそのような知識の共有を参加者は求めていると思っています。
話を戻して、私がやったセミナーは解像度の高さにこだわった、人によっては反論があるであろうエッジの効いた内容にしたつもりでした。
ざっくりセミナーで私がお伝えしたかったことは、事業価値評価を年倍法だけで済ますM&A仲介会社にはなるな、簡単に概算レベルでもDCF法を算定し、価格にはレンジを持たせ、そのレンジで売れれば万歳ぐらい売手に覚悟させろということ。
最後の質疑応答で、とある参加者の方から
「とはいえ私たちは年倍法ぐらいしかできないよね、それ以上何をやればいいんだ、価格には幅ありますよと伝えればいいのでは?」と質問を受けました。
私はその方の言うことを尊重しました。
でも本当に申し訳ございません。
嫌われても良いので、本音を言わせてください。
「そのような考えが事業承継ができたケースをできなくします」
価格には幅がありますよ。
売手はそりゃそうだと納得します。
でも実際は最低価格をある程度は持っているんですよ。
具体的な価格を示すことが、その高過ぎる願望をあぶりだし現実を考えさせる機会になり覚悟に繋がるのではないですか?
シンプルに、そんなに安くなる可能性もあるとは思ってなかったですとなる可能性はないですか?
だから解像度の低い=本質じゃないアドバイスはしたくないし、なんならしない方がいいと思ってます。
なのに税務というグレーばっかりの支援もやっているので矛盾しているんですけどね。
少し気持ちが落ち着いてきました。
もしあの時質問をくださった方、これを読んでましたら申し訳ございません。
ただ中小企業診断士がM&A支援に本格参入するならを真剣に考えて出した結論で、
同じ士業同士、応援したい気持ちは本当なんです。