会計事務所にコンサルティングができるのか

何にお金を払っているのか

私は、監査法人、コンサルティング会社、公的機関と経験をしてきたため、既に税理士がいる、もしくはコンサルタントがいるお客様を支援する仕事が多かったです。

そこで感じたことは、顧問料やコンサルティング料というのは料金体系が非常に不透明だということ。
お客様の立場に立てば、「一般的にはこれぐらいです」という説明で納得してしまいそうです。

数多くの事例を見てきた中で、これは”やばいな”と思った税理士とコンサルタントの特徴の第1位は何だと思いますか?

それは「成果物がない、もしくはよく分からないコンサルタント」です。

皆様が今契約している顧問税理士やコンサルタントはどのような成果物を納品していますか?
ぱっと思い浮かばない場合は黄色信号点滅です。
顧問税理士が会計データや申告書を作るのは当たり前ですので、あくまでコンサルティング契約部分に限ります。
勿論、成果物が無形である場合もあります。
あの方に相談すれば、いつも違う視点で回答をくれるとか、次に必要なアクションを教えてくれるとか。

要は、この質問にぱっと答えられない、もう1回考えてみても答えられないお客様は、潜在的に価値を感じていないということです。

ここ数年で、会計事務所もAIの台頭により、ただの記帳屋・申告屋からの脱却を図る動きが熾烈になっています。
一発の単価が大きいために、昨日まで家を売っていた、保険を売っていた営業マンがこぞって参入してきているM&A仲介業界と似ていると感じます。
つまり、お客様に一番身近な相談相手であり、数字を扱い、多業種かつ多数のお客様と関与していることから会計事務所側もお客様も付加価値があると勘違いしやすい状況になっているのではと思います。

本題の会計事務所はコンサルティングができるのか?ですが、
私の結論は「会社の売上を伸ばすことはできない」です。

まずはそもそもコンサルティングの定義から見ていきましょう。
日本語の拙い私にいつも優しく教えてくれる三省堂国語辞典アプリで調べてみると、
「(事業上の)相談に応じること。」とのこと。

コンサルティング業、国内最大手の㈱船井総合研究所様の知恵をお借りすると、
「企業の様々な経営上の課題を明らかにし、解決するための助言や提案をする」1とのこと。

  1. https://recruit.funaisoken.co.jp/recruit_ship/944/ ↩︎

さすが船井総研様です。私も今後引用させていただきます。

ただ、お客様視点ではコンサルティングだろうが、サポートだろうが、アドバイザリーだろうが、国語辞典の通り、相談に応じてくれれば呼称はどうでもいいですね。

会計事務所は常日頃やり取りする先ですし、一定の信頼関係もあるので、相談に応じやすいです。

そして、どのコンサルタントも絶対に数字を大事にしています。
何度も一緒にお仕事してきて、できるコンサルタントほど自分しか作れない数字を持っています。
逆に数字に弱いコンサルタントはたぶん駄目ですね。まあやっている内容によりますが。
皆様もイメージ通りではないでしょうか。
日々、事業に帆走されているお客様なら数字を追いかけることの重要性は既にご理解されているはずです。
この点も会計事務所は数字に強いです。

だから、相談しやすくて、数字に強くて、資格団体(税理士協会とか会計士協会)がそういうブランディングをしている(ようにみえる)会計事務所が、真っ当なことを言ってきたら、かっこいい提案書を持ってきたら、妙な説得力や安心感が宿るのではと思います。

非常にシンプルに考えてみてください。
経験していないことでコンサルティングできますか?

ある方がコンサルタントの本質は「人工(にんく)」と仰ってました。
仕事をしたときに発生する作業量、人件費のことです。
本当その通りです。

なんとなく根拠を述べたところで、私が言いたいことは、
「会計事務所のコンサルティングサービスが、
①ただの代替可能な人工代になっていませんか?
②できそうな人とお話しする時間になっていませんか?」ということです。

別にそれでもいいなら良いです。
実際問題、外注した方が社会保険料や福利厚生費がかからないので、経済合理性が会計事務所へのアウトソーシング(≒コンサルティング)ということもあるでしょう。
ただし、どうせお金を払うなら、パートを1名雇用された方が良いケースも多数見受けられます。

私はできないので、明確な成果物を毎回提供することを心掛けています。
そして、それこそが弊所の強みであるシミュレーションなのです。

以上です。